わたしの庭の写真集

おもいおこせば

おそくなりました
校門を走り出ると 
広がる空いっぱいに夕焼けの色
心の歓声聴きながら
家路さあ急がねばなりません

田圃一面を切り分けて街への直線道路
   空の色 田の水に映り
   田の水の輝き 空へ映り
夕暮れ時の輝きは夕焼け空とだけではなく
わたしをも巻き込んで
天と地ひとつの色に包み込んでいたのでした
   

燃える空の色は山の稜線へ引き込まれていきます
色の無い暗闇が西の山麓から忍び寄ってきます
薄墨色がかってもまだ水色残す東の空
月が大きく光って上ってきました
    すべてが思いもよらぬ素早さで

    
    夕暮れ時の豪華な色の変遷
    色彩と闇色のおりなす美しさ
    魅惑 誘惑 悟りのようなあきらめ感
    わたし  動けません
    


         途絶えがち 遠慮がちに 蛙の鳴き声
         きこえているのには気づいていました


名残とばかりの夕暮れ 
地を這うように広がってきた暗闇の底辺
なにやら ぼちぼちが・・・・あちこちに  あちこちに

水の入ったばかりの水田に身を置いて
蛙たちの目だけが水面から出ているのです
目こらしてみると 薄闇の中はもう一面蛙だらけ
蛙の目だらけ  ぼちぼちだらけ
見渡すかぎり 目 目 目

重たい沈黙 

すべての目 わたしを見てる 
暗闇の底から 
すべての目 わたしを見てる

  

月の光照り返してか 
すべての目が光ったように思えた
その一瞬
合図放たれたように 我慢の緒切れたかのように
一斉に鳴き始めた蛙たち 響きの大爆発


りんりんりんりん びんびんびんびん 


美しさの頂点 喜びの極み
不気味の権化 恐怖の極み

14歳の身体 14歳の宇宙
響きのなか取り込まれてしまって
必死で耐えているわたしがいました


びんびんびんびん りんりんりんりん


     *********


   わたしが何かを感じる・・・とき
   それは いつも ごたまぜでやってきます
   嬉しさ 悲しさ 喜び 恐怖 不安 美しさ 醜さ
   心地よさ 不気味さ 滑稽さ 寂しさ・・・

   単に心の機能・心の整理が悪い。。。のでしょうが

   月は東に 日は西に・・・
   ではすまなかった
   蛙の歌が聞こえてくるよ・・・
   ではすまなかった

   ゆさぶられひっくり返ってしまった14歳の心
   あの初夏の夕暮れ時に想いは飛ぶのでした

  目次
初夏・夏の庭

ガウラ(ハクチョウソウ)

・・・月は東に 日は西に・・・