おもいおこせば

蝋梅

秘密の花園

海見下ろす丘  花枝いっぱいに広げて 蝋梅の木
寒空でしょうか 暖かな日差し一杯なのでしょうか
満開でしょうか 蕾まだ残しているのでしょうか
  
   知りようもないのです
   これは 私の秘密の花園ではないのです

花街?で生きてきた女性が 
最後の日々過ごすために
やってきた シニアのための施設の庭
植えられて日の浅いロウバイの木を見たとき
彼女にひとつのイメージ・ひとつのプラン生まれました
  この木 ロウバイが花色に染まるとき
  木に寄り添って立つ自分の姿
  ロウバイの木・花・色にぴったりの着物姿で立つのだ

そこから
ストーリーは展開 
着物道楽で生きてきた彼女です 
思い通りの着物をあつらえるためには
大きな費用 都合せねばなりません・・・
    さてさて・・・
        たぶん 曾野綾子さんの短編集に見つけたストーリー
          まちがってたら  ごめんしてね



私の秘密の花園
路をたどると木々で隠された箇所にやってくるのです
そのむこう
海見下ろす丘へと路は続くはずです  
一本のロウバイ 枝ひろげ花姿で立っているはずです
静かに歩み寄る女性の姿は見えるのでしょうか

ロウバイの花にぴったりの着物とは 
どんな着物なのでしょうか
心・興味惹かれるけれど
立ち去らねばなりません
そこからは 
彼女の秘密の花園 領域ということのようです 



生きてゆく時を重ねないとわからないことってありますねえ
ボーッと生きてきただけの私ですが
蝋を溶かし込んだような浅い黄色のロウバイの花
突然ムネにしみこんできたのは
自分に老いを感じ始めるその一瞬前 だったとおもう・・・
大発見 と おおげさに喜びもしたのですが
ものには順序?
チューリップ 桜 バラ 等々 超えていって初めて感知できる
領域ってことかなあ
以来 この花に出会うたびに
美しさにしみじみ また会えた喜びにしみじみ
そして なんなのでしょうか 
優しげなため息をともなって 哀しみ?

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