私の庭の写真集

おもいおこせば

そこから山には行けないよ。
            すぐ後ろからの声

そう 石垣積んで傾斜に造られた畑の細道
山に続く道と判断したからでもあったけれど 
実際に立ち往生してたのは 
石垣の隙間という隙間から
こぼれんばかりに あふれんばかりに 
一面に咲き誇っている野生のスミレ その豪華な美しさ
圧倒されていたからなのでした。

春休みの校舎 窓から見下ろしてる女の子
気づいてはいたんだけれど

教えてもらった山道のけわしさ
帰りの船の時間もあって
あきらめて 戻ろうとふりむいたら
女の子 まぶしそうに立っていたのでした

船着き場 ささやかな桟橋
白砂の海底・魚の姿のぞき込んでふりむくと
女の子お買い物帰り 調味料瓶胸に立っていました 

おてつだい? お母さんは?

病気。  寝てる。

お父さんは? 島でお仕事?

病気。

      春休みの21歳  春休みの小学生
      どんな会話が可能でしょうか・・・


文字通りのポンポン船
ちょっともやのかかったような午後の空気のなか
リズムつけながら桟橋 離れてゆきます

桟橋のはじっこ 
照れくさそうな弟横に並べ 真っ直ぐに立って
女の子手を振っていました
    さ・よ・お・な・ら・あ・あ・−
そう 学芸会のように 
ゆっくりゆっくり きちんと高く横に手を振りながら・・・
    いつまでも いつまでも
       そう 学芸会おしまいの場面
              そのまんまに


さとみちゃんの島
シルクハットひょいと海に浮かべたような姿で
わたしが生まれ育った海辺の街 湾に浮かぶ島
3月には 段々畑の石垣に濃い紫のスミレ群れて咲く島


さとみちゃんの丸い頬は
潮風に吹かれ続けて?少しかすれて桃の色
潮風に吹かれ続けて?声も少しかすれてる


         続く・・・のあった
         春休みの21歳 と 春休みの小学6年生
         どんな会話が可能だったでしょうか・・・

         それはまた 何時の日か
         おもいおこす日もあるのでしょう
         スミレの花咲く春 もう間近ですもの

春の庭
花の目次


デージー